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2014年12月03日

【自転車冒険家・西川くんコラム】<ぼくの地球を走る旅>Vol.6 「メルボルンから山脈ルートで、ついにゴールの街 "シドニー" へ。」

prof.jpg----------「自転車冒険家」で「福島・駒ヶ嶺小学校非常勤講師」でもある西川昌徳さん。自転車世界一周を目指し、これまで訪れた国は23ヵ国、総走行距離は5万4000km。冒険を通じた教育支援活動として、海外を自転車で走りながら、Skype(インターネットテレビ電話)を使い、日本の子供と現地の人々との交流を生み出す「Skype交流授業」を、日本各地の学校で実施中。そんな「西川くん」のコラムをお届けします。オーストラリア5000kmの旅がスタートして、今回は6回目。アデレードに到着、いよいよSkype授業のレポートです。(以下敬称「くん」で失礼します)--------

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【第6回】

メルボルンから山脈ルートで、ついにゴールの街、シドニーへ。

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 メルボルン出発の朝。ちょうど通勤ラッシュの時間に走りはじめたので、街ゆく人はみんなスーツ姿で歩き、道路は渋滞。これまでオーストラリアで多くの時間をかけて走ってきた"地平線が続く草原地帯"とのギャップに、新鮮な気持ちでペダルをまわします。そうして人々と車のあいだを縫うようにしてメルボルンの市街地を走りました。

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メルボルンからシドニーにつながるM31フリーウェイ。

自動車専用道路だが区間によっては自転車レーンが併設されている。


5_01.jpgメルボルンの街並み。ダウンタウンは古い洋館と

近代的なビルがうまく共存していて美しい。


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メルボルンのダウンタウンを走る自転車レーン。

このように道路の中心を走るレーンも珍しくなく、

左折レーンで巻き込まれる心配もなく安心して走ることができる。


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フリーウェイに併設された自転車レーン。

しっかりとスペースが確保されているので、安心。


 メルボルンの忙しい都市部を抜けたころにはすでに日が傾いてしまいました。多くの人や車、信号が立ち並ぶ大都市ではなかなかペースがあがりません。やっとやっとで走行距離は80kmほど。また草原地帯に入ればペースはあがってくるでしょう。

 今回の旅の終着地点であるシドニーへは、少し内陸にはいるルートを選びました。南北に伸びるグレートディバイディング山脈を横切るルートなので、比較的平坦だったこれまでの道のりに比べ、アップダウンが多くなりました。

 山岳ルートに入り悩まされたのが、天気です。

 オーストラリアは南半球なので日本と季節が反対。僕が走っていた7月は、現地では冬になります。標高が上がると、朝晩の気温は5度になることもあります。それに山脈なので雨が多く、冷たい雨に降られながら走る日が続きました。

 悩まされるのは気温だけではありません。毎朝のように立ち込める霧では視界が遮られ、また季節が逆なのでオーストラリアはこの時期が最も日照時間が短いのです。少しでも走行距離を稼ぐため、毎日5時前には起床、準備をしてヘッドライトを点灯し、夜明け前から走りはじめていました。

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晴れた日には気持ちのよい青空が広がる。地平線の緑とのコントラストが美しい。


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牧場でのんびりと草をはむ羊たち。


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自転車にびっくりして逃げるものの、牧場の柵に阻まれオロオロしているカンガルー。

このあと柵を飛び越え、草原に消えていった。さすがのジャンプ力。


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前方に見える虹と雲。虹が見えるのは、そこで雨が降って太陽で

反射している証拠。こういうときはレインウェアを準備。


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(写真上の)虹に向かって走るとすぐに大粒の雨が落ちてきた。

そんな雨の日の夜。うまく公園の東屋を見つけてテント泊。


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フリーウェイは高速道路のように山を抜けるルートが多い。

食料の買い出しのときにはフリーウェイを抜けて少し大きな町へ。

のんびりした風景が広がると、先を急ぐ気持ちも少しのあいだ忘れられる。


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メルボルンから北へ100kmほどのところのセイモア

という基地のある町には、こんな大胆な展示も!

公園に普通に置かれていて、柵もなく、直に触ることができる。


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霧の中から浮かび上がってきた太陽。こういう幻想的な風景に癒やされる。


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乾燥した土地が多いオーストラリア。

都市の間隔が数百キロもあるような区間では、ときどき

こうした給水用の雨水タンクが休憩所に設置されている。


 シドニーに向けて交通量が増えていくフリーウェイ(自動車専用道路)。これは他の先進国でもありがちなのですが、諸外国では日本でいう高速道路が無料開放されているので、国道を走っていたかと思えば、いつの間にか自転車進入禁止の高速道路を走っていた、というようなことがよくあります。

 暗くなってきたり、疲れていると道路標示を見落とすこともあり、ここでも間違ってフリーウェイに走りこんでしまいました。自転車の脇をすごいスピードで車が走る怖さと、ポリスに見つかって怒られたらどうしようという怖さとでドキドキ。かといって逆走するわけにも行かず、高速道路なので降り口にもなかなか辿り着かず、すでに日が落ちてしまったフリーウェイでがむしゃらにペダルを漕ぎ続けていました。

 シドニー手前の都市で無事に降り口から脱出できほっとひと息。 最終日の夜は、このキャンベルタウンという町で小学校を見つけ、建物の脇の目立たないところでテントを張らせてもらいました。ただ夜中に寝ていると、近くを若者が通りかかる声が聞こえてきました。たちの悪い若者にテントが見つかると、石を投げつけられたり、何かしらちょっかいを出されることがあるのです。

 そのため目立たない場所をい選んだつもりだったのですが...「やばい!」とテントの中で息を殺して様子をうかがっていると...。ホッ。どうやらテントには気づかず、そのまま歩き去っていきました。レポートネタ的には寂しいかも知れませんが(笑 あーよかった...。

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最終日のキャンプの写真。大自然のキャンプよりも

町中キャンプのほうがよっぽど緊張。


 そんなこともあったので眠りが浅いまま、最終日の朝はいつもより早く走りはじめました。これまでの2ヶ月弱の旅を振り返りながら、日本に帰ってからのことを、あれこれ思い巡らしながらゴールのシドニーに向けて走ります。

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フリーウェイを抜け、シドニーの市街地に入る。

前に見えるのがシドニーのダウンタウン。


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ダウンタウンに入ると高層ビルに囲まれる。

大都市をフル装備の自転車で走るのはみんなの注目の的。

シドニーに到着した嬉しさもあるが、恥ずかしいので

写真をちょっとだけ撮ってゴール地点に向かう。


 シドニーの四角いビル群を抜け、たくさんの観光客の脇を走り抜けながら前を見ると、海が見えてきました。青空の広がる海岸線に沿って立ち並ぶホテルやレストラン、ヨットハーバーに並ぶ豪華なヨット、大きくて白い豪華客船。テレビでもおなじみのシドニーの町並みがそこにありました。


 じつは自転車旅での大都市走行や滞在には、なんだか少し居心地の悪さも感じたりすることもあります。おしゃれな人や自転車が行き交う都市部では、ふと恥ずかしい気持ちになっている自分がいたりします。 ロードバイクやクロスバイクのスマートさに比べて、バッグに荷物を満載したツーリングバイクは、言うなれば"ちょっと田舎から都会へ出てきたお上りさん"のような感じ? まあ、それでどうするワケでもないのですが、珍しそうにジロジロ見ないで〜!と心の中で叫ぶこともしばしば...。

 最後は通りに埋め尽くされた観光客のあいだを縫うように自転車を走らせて岬のほうへ。そうして目の前に、今回のゴール地点に設定していてた建物の、あの花びらのような白い曲線が見えてきました。

よっしゃー!

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ついに目の前に姿を表したオペラハウス。

今回のオーストラリア横断自転車旅のゴール地点。

相棒とともに記念撮影。今回もよくがんばってくれました。



 今回のオーストラリア自転車横断のゴール地点は、オペラハウス。スタート地点のパースから約50日で5200kmを走り切ることができました。ここからの3日間は、オーストラリア在住の日本人向け情報誌の取材を受けたり、駒ケ嶺小学校とのSkype交流授業、シドニー在住の外国人が通う英語学校での授業、など盛りだくさん。次回のレポートは最終回、そのあたりの滞在記と、日本に帰ってからのことなどについてお送りします!

西川昌徳

(次回「第7回」はこちら)




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