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2014年12月24日

【自転車冒険家・西川くんコラム】<ぼくの地球を走る旅>Vol.7 最終回 「シドニーから日本の福島へ。思いを紡ぐ旅はさらに続く」

nishikawa_prof.png----------「自転車冒険家」で「福島・駒ヶ嶺小学校非常勤講師」でもある西川昌徳さん。自転車世界一周を目指し、これまで訪れた国は23ヵ国、総走行距離は5万4000km。冒険を通じた教育支援活動として、海外を自転車で走りながら、Skype(インターネットテレビ電話)を使い、日本の子供と現地の人々との交流を生み出す「Skype交流授業」を、日本各地の学校で実施中。そんな「西川くん」のコラムをお届けします。オーストラリア横断約5000kmの旅を走破し、ゴールのシドニー入り。そして日本へ帰国、の最終回です!--------

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【第7回】

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 5月下旬、オーストラリア南西部の街、パースを出発して5200kmを走って大陸横断、2ヶ月かけてようやくたどりついたオーストラリア最大の街、シドニー。この旅ゴールの都市で宿泊させていただくのは、現地在住の日本人miyokoさん家族のお宅。 この旅の途中で出会った方が、シドニーのmiyokoさんを紹介して下さいました。こうして人の縁がつながり、なんとかシドニーまで旅を続けてこられることができました。

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▲ダウンタウンの図書館で見かけた大人用のキックボード。Vブレーキも装備していて速そう!


 miyokoさんからのメールにある住所とにらめっこしながら、もう暗くなりつつあるシドニーの町を走ります。交通量が多く、道路が複雑に交わり合う大都市シドニー。目指すお家は、ゴールの記念撮影をした「オペラハウス」からだと市街地のちょうど反対側。一方通行だったり、右折専用レーンに入らないと曲がれなかったり、四苦八苦しながらなんとか日が暮れ少し前に辿り着くことができました。 miyokoさんとは、メールのやりとりはしてきたものの、直接本人とは初対面。ドキドキしながらアパートメントの階段を登り、ドアをノックします。 コンコン...ガチャ。


「Masaくん!?ほんとによく来たね!ここまでよくがんばったね!」 miyokoさんは笑顔とハグ! 


 メルボルンからの、ぼくの旅の様子をブログで見ながら、無事辿り着けるか心配してくださっていたそうです。そしてすぐにご主人のクリストフさんと息子のルーカスくんと夜ごはん。

 基本的にはいつもひとりで走り、ひとり食事して寝るのが、ぼくの自転車旅。日本にいる時は、当たり前のように誰かと時間を過ごし、食事をしていますが、そんな「誰かと一緒に過ごす」ということが、なんて幸せなことなんだ!と感じた夜でした。

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▲miyokoさんと息子ルーカスくん。
素敵なお母さんに愛情をたっぷりもらってる彼を見ていると、
心があったかくなります。



 翌日はシドニーの英語学校での自転車旅のお話会。オーストラリアに移住してきたアジア、中東、アフリカなどさまざまな国の人が学ぶクラスで、これまでの世界の自転車旅のことをお話させていただきました。

「あ!ネパールだ! あなたにネパールの旅を楽しんでもらえたことがとても嬉しい」と話してくださったネパール人の男性がとても印象的でした。

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▲授業を行った英語学校。世界のさまざまな国からの生徒さんたちがいて、
小さな国際交流が生まれていました。ぼくの話にとても興味を持って下さいました。


 そして翌日。ついに帰国前日となりました。この日は"日豪プレス"のオフィスにて、ぼくの活動への取材と、駒ケ嶺小学校とのSkype交流授業を実施させていただきます。
 オーストラリア在住の日本人向けに新聞を発行する「日豪プレス」誌の取材では、ぼくの自転車旅とSkype交流授業についてのインタビューと市街地での撮影が行われ、いよいよ駒ケ嶺小学校とのSkype交流授業です。

 今回のテーマは新聞を出版するメディアの仕事現場から「伝える」というについて。子どもたちに日豪プレスの編集長と記者さんへインタビューをしてもらいます。いよいよ授業が始まりました。

 Skypeで日豪プレスのオフィスと駒ケ嶺小学校とがつながります。「こんにちはー!」。......なぜか、こちらから呼びかけても、子どもたちのリアクションがどうもイマイチ...。「あれ? どうしたの?」少し考えて気づきました。 今回のSkype交流授業は相手も日本人、そして中継場所も編集事務所、オフィスの中。恐らく子どもたちは「外国とつながっている」という実感につながらなかったのでしょう。

 う〜ん、どうしたものでしょう。 と、心配もつかの間、いくつかの会話を交わすうち、だんだん興味がそっちに向いてきたようで、子どもたちが明かに表情豊かになってきました。 彼らがなんとなく"かっこいい"と思っている「記者」や「メディア」という仕事。この仕事ついて、ある男の子から質問が出ました。

「仕事のやりがい?ってどんなときに感じますか?」これに編集長が答えます。

「かかわる時間も長く、締め切り前は休みなんてとても取れなくて、大変なこともたくさんあります。」

「けれども自分たちが発行した新聞が、多くの人の手元に届いて、少しでも役立つものになればいいなと思いながら仕事をしています。私は"誰かに伝える"という責任感と使命感を持ってこの仕事をできることを、誇りに思っています。」と編集長が答えてくださりました。

 実際にその仕事をしている人の生の声として、辛いことや、やりがいなどを話してもらい、それを受けて子どもたちは自分なりに考えているようです。編集長の話を聴く子どもたちの目が、とても真剣なまなざしになりキラキラしてくるのが画面を通しても伝わってきます。ぼくにとっても、とても幸せな瞬間で、かけがえのないことです。この取り組みが、子どもたちの視野や価値観を広げるきっかけになることを信じ、これからもやっていこう、そう思える授業になりました。

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▲日豪プレスのスタッフにメディアの仕事について質問する
男の子と授業の模様を撮影する女の子
(Skype交流授業では進行する司会も記録も子どもたちが行っています。)


press5.jpg▲日豪プレスで掲載された記事(^_^;)
http://nichigopress.jp/nichigo_news/monthly_news/71194/


 無事にインタビューとSkype交流授業を終えて、オフィスを出たのは日が傾きかけた頃。帰国フライトは明日の早朝なので、これからパッキングなど帰国の準備をしなければいけません。シドニーのダウンタウンを走って、これまた友達に紹介してもらった自転車屋さんへ。

「Masaだね!話は聞いてるよ! このBOXで大きさは問題ない!?」

 ショップのオーナーさんは、友達から電話を受けて自転車パッキング用のダンボールを用意してくださっていました。ありがとう! 旅を共にしてきた相棒を分解し、飛行機輸送でも壊れないようにクッションを詰めます。

「これもお土産に持って帰りな!」

とショップのロゴの入ったボトルもたくさんプレゼントしてくださいました。ほんとにオーストラリアでは最後までいろんな方のお世話になりっぱなしでした。いつかまた自分なりに恩返しができるようしっかりがんばらないと。

 前回の北米大陸横断では、自転車を飛行機に積めないというトラブルが発生、アメリカへ愛車を置き去りにしてしまいました。今回、ドキドキしながらの空港チェックインでしたが、すべての荷物が無事に日本に帰ってくることができました。


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▲パッキングした自転車とともに搭乗手続き。
以前、自転車パッキングのやり方でもめて持ち帰れなかったことがあるので、
チェックイン前は少し緊張。



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▲シドニーからゴールドコーストを経由して、いざ日本・成田空港へ。
フライト時間は合わせて12時間ほど。



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▲成田空港へ無事到着。翌日、東京・渋谷での講演は自転車で登場。
参加者の皆さんからゴールのお祝いをしていただきました!


 シドニーからは乗り継ぎを入れて約12時間。最終日までバタバタの日程だったので、飛行機に乗りながら、やっとこの2ヶ月のオーストラリア横断旅をゆっくり振り返る時間ができました。いろんなことがあったけど、なにより無事で良かった、今のところ...。

 「今のところ」、というのは、じつはまだ僕の自転車旅は完結していません。成田に到着したら、また自転車を組み立て、福島の駒ケ嶺小学校まで走り切って初めて本当のゴールとなります。
 オーストラリアは南半球、冬なので寒かったんですが、久しぶりに戻ってきた日本は真夏の7月中旬、気温は30度! 走り始めたとたん身体もビックリ! 暑さに慣れてないのでなかなかこたえます。
 東京から北に向かってひたすら走ること4日間。福島県に入り、いよいよ新地町が近づいてきました。見慣れた景色が出てくると、少しでも早く辿り着きたい!とペダルを踏む足にも力が入ります。そして小学校の1km手前から、Skypeでぼくと駒ケ嶺小学校のホールを生中継をつなぎます。
 画面から聞こえてくる「に~しかわ!に~しかわ!」という子どもたちのコール。ああ、もう1秒でも早くゴールしたい! ついに小学校の校門をくぐり、遠くに手を振るこどもたちの姿が見えます。全校生徒が待つホールへ。

 あ〜"笑顔があふれる"ってこういうことなんだ! 自分にも自然と笑みがこぼれます。みんなが満面の笑顔で待つホールへ、自転車でそのまま入場!
おぉ花のアーチだ! 色紙と竹で作ってくれたんだね! アーチをくぐると手を伸ばしてくる子どもたち。ハイタッチ!ハイタッチ! さらに目の前にはクス玉が! 
ありがとうみんな、とお礼を言いながらヒモを引くと...。

「西川さんおかえりなさい!」という文字と、紙吹雪! 子どもたちが用意してくれた派手な手作りの歓迎アイテムに感動です。

 簡単に帰国の挨拶と旅の報告会を終え、みんなで一緒に記念撮影! 子どもたちが押し合いへし合いやってきて、ぼくに

「おかえりー!」

「ヘルメットかっこいい!」

「ねえねえ、オーストラリアでコアラ抱っこした!?」

「次もうどこ行くか決めてるのー!?」

...もう質問の嵐です(^_^;) ようやくすべてを成し遂げた安堵と、子どもたちの大歓迎のうれしさで、もうこの2ヶ月間の苦労も、何もかもが全部上書きされてしまうかのような幸せな時間をプレゼントしてくれました。

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▲ついに感動のゴール、駒ケ嶺小学校に。全校生徒と先生方との記念写真。
くす玉まで用意してくれ、あたたかく迎えてくださったみなさん。ほんとにありがとうございました!


 思い返せば、あっという間に過ぎていったオーストラリア横断2ヶ月5200kmの自転車旅。様々な事情があり、これまでにないタイトなスケジュールになったこと。そのうえでのSkype交流授業の準備と実現。正直なところプレッシャーを感じていましたし、そんな状況での走行は楽しいばかりではありませんでした。それに大陸の不安定な天候や、身体には膝の故障も加わり、孤独と闘いながら気持ち的にかなり追い詰められることもありました。ですが最後まで自分を律することができたのは、日本で待ってくれている子どもたちや、この冒険旅を応援してくださる皆さんからの励ましのメッセージでした。


 つらいこともあるけれども、そのしんどさがあるからこそ、達成し子どもたちの笑顔を見たときの喜びはひとしおです。ぼくが子どもに勇気をもらっているという事実もあるのですが、これからも子どもたちに一歩を踏み出すことの勇気や世界の人との出会いを届けていくために、僕は世界を走り続けます。
今度は世界のどこを走り、どんな授業を子どもたちに届けられるのでしょうか。また近いうち、次の旅の話を報告できると思います。その時まで、さようなら。またお会いしましょう!(じつは今、すでに旅に出ています...(笑))

(西川昌徳)












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