転倒時の損傷箇所の割合

転倒時の損傷部位を見ると、頭部が圧倒的多数を占めています。転倒の際に路面や縁石で強打する、あるいは自動車等との衝突で車輪に巻き込まれたり、車体や外板で強打する場合が多いことが原因といわれています。これらによって頭蓋骨骨折や脳挫傷、脳しんとうを起こすケースが多く、死亡に至っています。当然ながら、頭部に損傷を受けると、他の部位に比べ死亡割合が著しく高くなります。自動車やバイクに比して「手軽な乗り物」という油断を生みがちな自転車ですが、いったん事故にあって頭部に損傷を受けると、死亡に至る事故につながります。まずは頭部を守る、つまりヘルメットの着用が何よりも大切であると言えます。

※2017から2021年の5年間 ※警察庁交通統計から作成

装着時と非装着時の比較など

停車中の自転車の転倒時に頭蓋骨にかかる力(骨折の危険性)や脳にかかる力(脳震盪の危険性)はどの程度かを検証するため、「ヘルメット装着の場合」と「ヘルメット未装着の場合」の人体モデルを使った「転倒実験」をもとにシミュレーションした結果、ヘルメットの重要性が浮き彫りとなりました。


※出典「交通事故分析リポートVol.97」 / (公財)交通事故分析センター(平成24年11月)

頭蓋骨にかかる応力(※)分布

※応力とは
転倒時の加速度や角度、接触する物質の硬度などを総合的に加味して解析される「損傷作用を及ぼす力の総和」で、シュミレーション結果は頭蓋骨にかかる力の強さと作用が及ぶ範囲を表している。27MPa以上では骨折の可能性が極めて高くなる。
「ヘルメット装着」の場合には、比較的軽微な応力(頭蓋骨にかかる力)が、接触部分を中心とした限られたエリアで作用するにとどまりました。一方、「ヘルメット未装着」の場合、頭蓋骨骨折を起こすに十分な応力が広い範囲にわたって作用していることがわかります。

破壊によって被害を軽減する
(パッシブセーフティ)

ヘルメットは転倒や事故などで転倒した場合、シェルやライナーが凹んだり、場合によっては破壊することで、衝撃エネルギーを吸収します。なお、転倒して頭を打ったにも関わらず、ヘルメットの外観に損傷がみられない場合でも、内部のライナーが損傷している可能性が高いため、そのままご使用いただくことはおやめください。
衝撃を受けたヘルメット

実際に事故に遭われたユーザーの事例

大阪府Aさん 41才男性の場合
いつも走っている地元の山をヒルクライム後、35km/h程度で下山中、ある右コーナーにて路面の浮き砂によりタイヤが滑り落車。右側頭部、右肩を強打し右肋骨骨折はしたものの、頭部はヘルメットのおかげで無事でした。ヘルメットはバラバラになりましたが、もしもヘルメットをかぶっていなかったら…考えるだけでも恐ろしいです。

Kabutoサポート選手 Y選手の場合
レース当日の朝から降雨により路面が濡れており、コースは全体的にかなりスリッピーな状態。基本的に下りが得意だったが、若干オーバースピード気味のコーナー進入により前輪から流れてしまい落車。擦過傷と鎖骨骨折したものの、頭はヘルメットのおかげで無事でした。またあごひもをしっかり留めていたので、落車の衝撃でもずれたりせず、頭をきちんと守ってくれたようです。後でヘルメットを見てみると、耳の上付近に大きな傷がありました。ヘルメットをかぶっていなければ、耳のケガだけではなく、頭も大ケガしていたかと思うと、改めてヘルメットの重要さを痛感しました。



実際に破損したヘルメット






ヘルメットの構造

へルメットは基本構造として、シェル(外殻)、ライナー(発泡スチロール)、
あごひもの3要素から成り立っており、それぞれ役割があります。

シェル
ヘルメットの外殻。衝撃を受けた際、一次外力を分散させる役目を果たします。
ライナー
衝撃力を吸収する役目を果たします。
あごひも
転倒時などヘルメットをしっかり保持するための役目を果たします。
ポリカーボネイト樹脂   ABS樹脂   カーボン
   
軽量で首への負担が少ない。 軽量で首への負担が少ない。 軽量であると同時に
高い剛性がある。






ヘルメットの厳しい試験内容

へルメットは様々な厳しいテストを繰り返し行い、
安全性を検証・製品に反映しています。
試験範囲の測定
保護され保護されるべき範囲が適切か
レーザーポインタを当てて調べます。
浸漬、恒温槽(高温・低温)
衝撃落下試験を行う前の前処理として、水に漬けたり、
高温や低温の環境下に一定時間放置したりして、
一般的な気象条件に合わせます。
衝撃落下試験
高所からヘルメットを落下させて、
衝撃吸収度を測定します。
あごひも強度試験(左)
あごひもに荷重をかけ、あごひもの強度を調べます。
  ロールオフ試験(右)
転倒時にヘルメットが簡単に脱げないかを調べます。






頭部形状は人種によって違う

頭部の形状は、個人差がありますが、
一般的にアジア人は丸い頭部形状が多く見られます。
欧米人の
頭部形状

頭部は縦長に近く、側頭部が狭く額・後頭部が張り出している。
アジア人の
頭部形状

頭部は円形に近く、側頭部も張り出している。

なぜサイズの合った
ヘルメットが必要なのか

正しいサイズのヘルメットを使わなかったら…。
サイズが大きすぎるヘルメット
万一のアクシデントの際、転倒のはずみでヘルメットが
脱落するおそれがあります。
サイズが小さすぎるヘルメット
ロングライドなど長時間ヘルメットをかぶっていると、
圧迫により痛みや不快感を感じるおそれがあります。

正しいサイズの選び方

ヘルメットは実際にかぶって自分によくあったサイズを選びましょう。
※ヘルメット取扱い専門店様でご相談の上、ご購入頂くことをおすすめ致します。
1 自分に合うかも、と思われるサイズを選びます。
◎あごひものバックル(留め具)を外す。
◎後頭部にアジャスターが付いているものは緩めて下さい。
2 実際にかぶってみます。
◎ あごひもが邪魔にならないよう、あごひもを両手で広げながらヘルメットかぶりあごひものバックル(留め具)を締めます。
◎ヘルメットの先端がまゆ毛のすぐ上にくるようにヘルメットの角度を合わせます。
◎ヘルメットの前がわを押さえながら、アジャスターのダイヤルを締めていきます。


3 サイズ判定  
きつい場合
◎明らかに小さい。
◎痛くはないがどこかに当たっている感じがする。
◎こめかみが締めつけられる感じがする。
◎ヘルメットが途中で止まっている感じがする。
(最後までかぶれていない、ヘルメットと頭頂部にスキ間がある)
◎ちょっときつめかも・・・・。

上記いずれかに当てはまる場合は、もう一つ大きめのサイズをお選びください
。

ゆるい場合
◎明らかに大きい。
◎アジャスターだけで支えらている感じがする。
◎ヘルメットをかぶってから左右に大きく振れる。(ぐらつく)
◎頭頂部しか当たっている感じがしない。

上記いずれかに当てはまる場合は、
もう一つ小さめのサイズをお選びください。



適正と思われる場合
◎緩すぎず、痛いところや窮屈さを感じる部分がない。
◎帽子をかぶる感覚で自然とかぶれている。
◎ヘルメットをしっかりと頭頂部までかぶれている。
◎アジャスターを締めたらさらにフィットがよくなった。

 
 
 





ヘルメットの正しい装着角度

ヘルメットは正しい角度で装着することで、ヘルメット本来の機能を発揮することができます。装着の際は、必ず正しい角度で装着することを心がけましょう。ヘルメットをかぶる前にアジャスター付きの場合は「必ずアジャスターを緩めてから」かぶります。
1 正しい角度で装着
正しい角度で装着することで、ヘルメット本来の機能を発揮することができます。

2 左右均等に
ヘルメットの先端がまゆ毛のすぐ上にくるように角度を合わせ、左右均等にかぶります。額が見えるほどヘルメットの先端が上を向いていたり、ヘルメットが傾いていたりしてはいけません。

3 あご下の適度なあそび
あごの下でバックルを固定したのち、あごひもとの間に人差し指が入る程度の長さに調整してください。

4 耳元のV字部分のねじれチェック
あごひもがV字になっている部分にはあごひもを1つにまとめるための部品(アジャストロック)が装備されています。あごひものV字部分が耳元にすっきり収まるよう、部品の高さを適切に調整しましょう。

悪い例 : 1
V字部分がねじれている
  悪い例 : 2
アジャストロックが適切な位置でない






ご使用前に

1 正しい角度でヘルメットをかぶる
2 あごひもの調整を必ずおこなう
3 アジャスターの適度な調整
詳しくは「5 : ヘルメットの正しい装着方法」へ

ご使用中
休憩時などのヘルメットの保管方法(自転車へのヘルメットのかけかた)
良い例 : 1
しっかりとあご紐で
ハンドルに留める
  悪い例 : 2
ハンドル上に置いただけや
地面への逆さ置きなど
参考 : ヘルメットは意外と軽いため、風が強いときなどはハンドルの上に置くだけでは風で飛ばされる場合があるので必ずしっかりハンドルへあご紐を留めるようにしましょう。
ご使用後は
雨などで濡れたらしっかりふき取りましょう。
汗で湿ったまま放置せず、洗浄してから自然乾燥した後に、保管しましょう。
車中や暖房機など高温になる場所や直射日光に当たる場所での保管・放置はせず、風通しの良い日陰で保管しましょう。



ヘルメットの
定期的なお手入れ方法

定期的なメンテナンスで快適な
サイクリングライフを楽しみましょう。
1 汚れを落とす
※ぬるま湯(35℃以下)
シェル
水もしくぬるま湯※を含ませた布で汚れをふき取ります。汚れがひどい場合は中性洗剤を薄めた水かぬるま湯※でふき取ります。
ヘルメットの内側
インナーパッドをすべて取り外し、ヘルメット内側の汚れをふき取ります。汚れがひどい場合は中性洗剤を薄めた水かぬるま湯※でふき取ります。
あごひも
洗面器などに水もしくはぬるま湯※をため、あごひもをそこに浸します。あごひもに水分を含んだら、シャンプーもしくはボディソープを数滴手に取り、優しくもみ洗いを行い汚れを落とします。泡が無くなるまでしっかりすすぎ洗いをしたら、タオルなどであごひも全体を包み込みながら水分を取り除き、風通しのよい日陰で十分に乾燥させてください。

備考
あごひもはヘルメットの中でも一番汗や皮脂が付着する部分。とくに、V字状になっているアジャストロックやバックルなどの樹脂パーツ部分には、意外と皮脂などの汗の成分が溜まりやすいので、パーツを緩めた状態で洗うことをオススメします
※MOFF製あごひもを洗う場合のご注意
MOFF®製あごひもを洗う場合は、アルカリ系洗剤はMOFF®の効果が減少するので使用しないでください。)
インナーパッド編(脱着可能なタイプ)
洗面器などに水もしくはぬるま湯※をため、ヘルメットから取り外したインナーパッドをそこに浸します。インナーパッドに水分を含んだら、シャンプーもしくはボディソープを数滴手に取り、優しくもみ洗いを行い汚れを落とします。泡が無くなるまでしっかりすすぎ洗いをしたら、タオルなどでインナーパッド全体をやさしく包み込みながら水分を取り除きます。
(絞ると内装がすぐに傷むので、絞らずタオルでやさしく包みながら水分を取り除いてください)

備考
サイクリングヘルメット用のインナーパッドは、直接肌に触れたりするデリケートな部品なので、縫い目が出るような縫製加工はほとんど行っておらず、「熱で接着する加工(ウェルダー加工)」を採用しています(DHフルフェイスは除く)。このため使用頻度や定期的なメンテナンスを行えば行うほど、接着部分が弱くなり剥がれることがあります。剥がれる現象はあくまで「消耗した証」であるため、そのような状態になったらすぐにインナーパッドの交換をおすすめします。
 
インナーパッド編(脱着できないタイプ)
水もしくぬるま湯※を含ませた布で汚れをふき取ります。汚れがひどい場合は中性洗剤を薄めた水かぬるま湯※でふき取ります。

 
インナーパッド編(フルフェイスタイプ)

ヘルメットから取り外したインナーパッドをランドリーネットに入れ、家庭の洗濯機で洗えます。なお泥などの汚れが酷い場合は、最初にそれらを手洗いで取り除いてから洗濯機で洗うようにしましょう。
(全自動洗濯機の乾燥機能は使用しないください。)
 

2 乾燥  
ヘルメット本体もインナーパッドも、直射日光が当たらない、風通しのよい日陰などでしっかりと乾燥させましょう。もちろん風などで落下しないよう、安定した場所での乾燥をしましょう。なおドライヤーや浴場乾燥、暖房機など50℃以上になるような器具や場所での乾燥は材質が傷むおそれがあるので絶対におやめください。しっかり乾燥されず保管した場合、材質が劣化する場合があります。
 
3 保管  
乾燥が終わったら、インナーパッド、アジャスターなどを元の位置へ戻します。なお保管場所は、直射日光が当たらない50℃以上にならない場所にしましょう。落下の可能性がある場所や、逆さ置きにせず、水平で落下の心配がない場所に正しく置きましょう。


運搬時
輪行の際、ヘルメットも輪行袋などに入れて持ち運ぶ場合は、ヘルメットに荷重がかからないよう注意して収納しましょう。また運搬時にヘルメットを壁などにぶつけないよう、緩衝材を巻くなどの対処を行いましょう。しかし、やはり一番良いのはヘルメットだけはハンドキャリーする方法が良いでしょう。
消耗品はパーツ交換でリフレッシュ
下記のパーツは使用頻度やお手入れ状況などにより、傷みや消耗がみられた場合に交換することが可能です。快適に使用するためにも、無理に使い続けず早めに交換するようにしましょう。
アジャスター
こんな場合にはすぐ交換しましょう
◎動きが悪くなった
◎すぐに緩む
◎部品やベルトに亀裂が入ったり破断が見られたりする
インナーパッド
こんな場合にはすぐ交換しましょう
◎内装の生地が剥がれた
◎いくら洗っても汚れが落ちない
◎購入当初に比べフィット感が悪くなった(直接ヘルメットに当たる感じがする)






明らかに破損している場合

破断や亀裂、シェル表面に打ち付けたような跡があるなどの場合は、ヘルメットとしての機能を終えていますのですぐに使用を中止して新しいものに交換しましょう。

転倒して頭部を打ったがヘルメットは
破損しておらずキズも見あたらない場合


見た目には何もなくても内部で損傷している可能性が高く、同様の衝撃を受けた場合にヘルメットの性能を十分に発揮できないおそれがありますのですぐに使用を中止して新しいものに交換しましょう。






Kabutoでは、ヘルメットの耐久性を考慮し、
ヘルメットの有効期限を購入後3年間としています。
使用を開始してから異常が認められなくても
3年以内に買い替えをおすすめします。

3年をめやすに買い替えをおすすめする理由

サイクリングスポーツは屋外で行うスポーツであり、そこで使用されるヘルメットは太陽の紫外線や雨・土などの自然環境はもちろん、ご自身の汗や皮脂などにずっとさらされ続けています。それらが要因となりヘルメットは徐々に材質劣化が進行するため、長くご使用になられたヘルメットでは万一のアクシデントの際に十分な保護性能を発揮できないおそれがあります。古くなったヘルメットはずっと使い続けず、3年をめやすに交換するようにしましょう。







ヘルメットは修理できますか?

A : ヘルメット本体、あごひも本体(取り替え含)の修理はできません。なお消耗品(アジャスター、インナーパッド)や一部パーツは交換できますので、お買い上げのショップもしくは弊社までお問い合わせください。



ヘルメットの価格が、高い物から安い物まで色々ありますが、何が違うのですか?

A : ヘルメットの安全性やフィット感については基本的にすべて同じです。価格の違いの主な例としては、

◎価格が高い物
軽量化を図った特殊な設計や複雑な製造方法によりコストがかかる
内装生地やあごひもなどに特殊な素材を採用している
構成パーツが多い
その他付加機能が多く設定されている

◎価格が安い物
シンプルな形状を採用し、コストを削減している
スタンダードな素材を使用している
付加機能は最低限のものに限られている
です。



有効期間「3年」が過ぎたヘルメットって
どうにかなるのですか?


A : 「なぜヘルメットをかぶらないといけないの?」でもご説明した通り、経年劣化したヘルメットは、十分な衝撃吸収性能を発揮できず、もしもの転倒・事故の際に大変危険です。その"もしも"のときのために、有効期間を迎えたら早めに買い替えましょう。



補修パーツって全部共通? どれでも合うの?

A : 一部共通のパーツもありますが、基本はモデルごとに補修パーツが設定されています。お買い求めの際にショップの方へお問い合わせください。なお補修パーツが設定されているモデルについては、各モデル別にパーツ内容、詳細が掲載され ておりますので、そちらもご覧ください。



補修パーツってどこで売っているの?

A : 市販のお買い上げいただいたショップなどでお買い上げいただけます。在庫が無い場合でもお取り寄せができますので、ショップへご注文ください。



モデルによって深いかぶり心地だったり浅いかぶり心地だったりするが、こんなものですか?

A : デザインやそのモデル独自の商品コンセプトによりヘルメットの深さは様々で、頭部の形状も個人差があり、深め・浅めの好みも様々です。買い上げいただく前に実際にご試着いただき、最もご自身に合ったヘルメットをお選びください。



モデルによってヘルメットをかぶると一部分がどうしても当たって痛いので工具などで削ろうと思うが大丈夫ですか?

A : ヘルメットはその形を成したうえで安全性を確保しています。削ったり穴を広げたりなどの加工・改造はヘルメットの性能に悪影響をおよぼしますので絶対にしないでください。



あごひもそのものって交換できますか?

A : あごひも本体はヘルメットにとって大変重要な部品の一つです。交換や修理はできません。






©はるなゆきのり